予算は、間違った問いに答えています。教えてくれるのは、平均すると1か月がどんな形になるはずかということです。11日の歯医者、23日の自動車保険の更新、28日の旅行を、同じ月に全部払えるかどうかは教えてくれません。そのために必要なのが、キャッシュフロー予測です。すでにわかっているすべてを踏まえて、今後30日、60日、90日の残高がどうなるかを、日単位で見通すものです。
予測は、「足りていると思う」と「足りているとわかっている」のあいだを埋めます。問題を3週間前に見つけるのと、請求が引き落とされる金曜の午後に気づくのとの違いです。
このガイドは、地味で正確なほうの版です。現実にぶつかっても耐える予測の作り方、どの期間を使うか、ほとんどの表計算がどこで間違えるか、そして適切な道具が、そのすべてをどのように一つの数字にまとめるか。
キャッシュフロー予測とは
予測は、合計ではなく、時間の流れです。現在の残高から出発し、予測できる収入をすべて足し、予測できる支出をすべて引いて、日ごとに残高の推移を描きます。
大事なのは、谷の形です。次の給料で補充される前に、残高が到達する最も低い点のことです。月平均のキャッシュフローが健全でも、谷は危険なことがあります。月の終わりが800ユーロのプラスでも、給料日の前に四半期の保険料が来れば、19日目には120ユーロのマイナスに落ちることがあります。
役に立つ予測は、三つの問いに同時に答えます。
- 今月は大丈夫か。(谷がゼロ、またはバッファの基準より上にあるか。)
- どの日が最も厳しいか。(その日を避けて、自由に使う支出を動かせるように。)
- 明日収入が止まったら、ランウェイはどれくらいか。(わかっている支出だけで、予測残高がゼロを上回る日数。)
毎月の予算は、そのどれにも答えられません。答えを平均して、誰にも当てはまらない数字にしてしまいます。
三つの期間:30日、60日、90日
判断によって、必要な先読みの長さが違います。
| 期間 | 答えること | 更新の頻度 |
|---|---|---|
| 30日 | 今月の残りと、来月の最初の週をまかなえるか | 週1回 |
| 60日 | ぶつかる四半期の請求、更新、予定された旅行はないか | 2週間に1回 |
| 90日 | 本当のランウェイはどれくらいか、貯蓄率は思っている水準か | 月1回 |
ほとんどの人は、このうち一つの期間でしか予測しません。たいてい間違った期間です。30日先までしか見ないと、四半期の保険、年払いのサブスク、7月に予約した旅行を見逃します。90日先を、毎週見直さずに見ていると、2週目には数字が古くなっています。三つとも使いましょう。
予測に入れるもの
きれいな予測には、四つの流れがあります。混ぜると、全体像が混乱します。
1. 繰り返しの収入。 給料、定期的な顧客への請求、配当、家賃収入。それぞれに、日付、金額、確度があります。25日の給料は確度が高い。「来週入るはず」の顧客への請求は違います。控えめに、あるいはありえる期間の遅いほうで見積もります。
2. 繰り返しの支出。 家賃、住宅ローン、光熱費、インターネット、携帯、ジム、保険、すべてのサブスク。ここでの落とし穴は、年払いと四半期払いの請求です。先月は出てこなかったからといって、予測から消えるわけではありません。実際に引き落とされる日付で、カレンダーに置く必要があります。
3. わかっている一度きりの支出。 歯医者の予約、車の点検、学費、すでに予約した休暇の航空券、約束した結婚祝い。知っていて日付を決められるものは、すべて入れます。
4. 変動する支出。 食料品、ガソリン、外食、交通、日用品。金額が不確かなので、最も難しい流れです。過去3か月の1日あたりの平均を使い、期間の残りの日数に当てはめます。直近の1か月だけを使ってはいけません。ブレが大きいからです。3か月が安定した基準です。
予測は、これら四つの流れを時間にそって足し合わせたもので、今日の実際の残高から始めます。
30日の予測を手で作る
仕組みを理解するために、一度、紙か表計算で作ってみましょう。そのあとで自動化します。
- 今日の使える残高から始める。 保留後の口座残高ではなく、使える残高です。保留、月末に支払うクレジットカードの最低額、すでにした約束を差し引いたものです。
- 今後30日間のすべての収入を書き出す。 日付と金額。
- 今後30日間のすべての繰り返しの支出を書き出す。 過去3か月の明細を引き出し、月の同じ時期に出たものは繰り返しです。それぞれを、予想される日付に置きます。
- わかっている一度きりの支出をすべて書き出す。 旅行の費用、贈り物、予約。
- 変動する支出を見積もる。 変動するカテゴリの過去90日分を90で割り、期間の残りの日数を掛けます。残りの日に均等に配ります。
- 日々の残高を計算する。 期間の各日について、その日の収入を足し、その日の支出を引いて、新しい残高を記録します。
- 谷を見つける。 最も低い残高と、それが起こる日を特定します。
- バッファとの差を確かめる。 許容できる最低残高が500ユーロで、谷が230ユーロなら、差は270ユーロです。見つけるか、動かすべき額です。
これはまさに、ファイナンシャルプランナーがもっと複雑な形でやっていることです。原理は同じです。
ほとんどの予測が外れる理由
予測は、決まった形で失敗します。あなたの予測がおかしく感じるなら、ほぼ必ず、このどれかです。
- まとまった請求を見落とす。 年払いや四半期払いの請求(保険、税金、専門職のサブスク)は、直近の月に出てこなかったので消えてしまいます。請求が来て、谷がマイナスになるまで、予測は問題なさそうに見えます。
- 楽観的な収入の日付。 顧客への請求が、月の10日ではなく1日に入るものとして扱う。収入は、ありえる期間の遅いほうで、支出は早いほうで扱ってください。ここでの悲観が、あなたを救います。
- 「きれいな」月から見積もった変動費。 外食も、ガソリンも、衝動買いもなかった月は、基準ではなく外れ値です。3か月を使ってください。
- クレジットカードのタイミングを無視する。 クレジットカードを月に一度、全額払っているなら、予測では、一つひとつの取引がカードに計上された日ではなく、全額の請求が支払期日に引かれる形で表示される必要があります。
- 現金ではなく純資産を予測する。 純資産には、投資、持ち分、火曜日に実際に使えない資産が含まれます。予測は、すぐ使える現金と短期の負債だけが対象です。
- 自分の口座間の振替を忘れる。 振替は収入でも支出でもなく、差し引きゼロになるはずです。多くの表計算が、二重に数えています。
最初の月を乗り越える予測は、たいてい、これらの誤りの一つを見つけて直した予測です。そこが作業の中身です。
予測をどう使うか
予測は、行動に移して初めて役に立ちます。
30日の谷がバッファより上なら: 良好です。貯蓄率が望む水準かを確認します。60日と90日の期間で、あとで支障をきたしそうな四半期の項目を見ます。
谷がバッファの100〜200ユーロ以内なら: 厳しいけれど対処できます。谷の日より先に延ばせる、自由に使う項目を2〜3個特定します。「使う額を減らす」と自分に約束してはいけません。具体的なものを選んで、日程を変えます。
谷がバッファより下、またはゼロより下なら: 直す時間があります。予測の要点は、問題より先に答えが届くことです。選択肢は、望ましい順に並べるとこうです。
- 自由に使う支出を、谷より後ろに動かす。 サブスクの更新、予定していた買い物、外食。
- できれば収入を前倒しする(顧客に請求する、入金を早める)。
- わかっている支出を交渉する、または延ばす(請求を分割払いにする、公共料金の支払日の変更を頼む)。
- バッファを使う。 緊急用の余裕があるなら、まさにそのためのものです。来月、補充します。
- 短期の借入を使う。 最後の手段です。実際の利息のコストを計算し、予測が遅れたことへの一度きりの手数料と考えてください。
規律としては、ほとんどの場合、1〜3の選択肢を使うことです。4と5は、予測を行うのが遅すぎるというサインです。
再予測の頻度
チェックポイントは三つだけです。
- 毎週: 30日の簡単な更新。5分。予定外に入ったものはないか。新しい約束はないか。
- 2週間ごと: 60日の確認。2か月先を見ます。四半期の何かが近づいていないか。
- 毎月: 90日のリセット。完全な見直し。過去90日から、変動費の基準を更新します。収入の確度を調整します。
月に一度だけ予測して、その数字を30日間信じ続けるなら、予測は役に立たなくなります。現実は動きます。予測もそれと一緒に動かなければなりません。
thrustでの使い方
表計算にある予測は、次の取引が入った瞬間から劣化します。thrustのiOSアプリは、この作業全体を、自分で更新される形にまとめます。
- 使えるお金は、ホーム画面の一つの数字で、月の残りをすでに織り込んでいます。わかっている繰り返しの支出、検出されたサブスク、予定されている支出のすべてです。予測を作る必要はなく、その結論を読むだけです。
- AI CFOはオンデバイスで動き、表計算の方法が真似ているのと同じ、谷を見つける考え方を示します。どの日が厳しいか、何が原因か、何を動かせるか。プライベートに、サーバーを介さずに。
- サブスクの自動検出は、多くの表計算が見逃す繰り返しの請求を見つけます。まとまった四半期の請求や、忘れていたジムを、予測の時間軸に自動で置きます。
- 収入の見積もりは、フリーランスや複数の収入源の変動する収入をならすので、予測が不規則な1か月に過剰に反応しません。
- 多通貨対応は、対応する20以上の通貨と18のブロックチェーンネットワークにまたがる予測を一つにまとめます。ある通貨で稼いで別の通貨で使う人や、準備金の一部を暗号資産で持つ人に役立ちます。
- 目標は、予測を未来に当てはめます。ほかに起こるすべてを踏まえて、貯蓄の目標が期日どおりに届くかを、アプリが把握しています。
すべて端末の中で動きます。予測はあなたのもので、スマホの外には出ません。
よい予測は、未来を言い当てるものではありません。未来から不意打ちをなくすものです。来月の11日が来るころには、残高がいくらになるか、すでにわかっています。そのわかっているということが、すべてです。