2口座方式:請求と生活費を分けて、穏やかな予算にする

固定費のための口座をひとつ、日々の生活費のための口座をひとつ。2口座方式は、「このお金は使って大丈夫か」という頭の中の計算をなくし、予算管理を給料期間ごとのひとつの振替にします。設定の仕方と、トレードオフを紹介します。

予算の失敗の多くは、道徳の問題ではありません。構造の問題です。火曜日に普通預金に€1,800あるのを見ると、脳は「使える」と読みます。そうではありません。そのうち€1,200は、家賃、光熱費、保険、まだ引き落とされていない自動払いのサブスクです。金曜日までに、夕食とジャケットに€400使い、1日の家賃の引き落としは、残高不足の通知になります。

解決策に、意志の力は要りません。必要なのは、2つの普通預金口座です。

2口座方式は、お金が入った日に、「請求」と「生活費」に分けます。請求の口座には、給料と給料の間に払うべき額を、ちょうど置きます。生活費の口座には、本当に自分が使えるお金を置きます。頭の中の計算は消えます。生活費の口座にお金があれば、使えます。なければ、使えません。表計算は要りません。

仕組み

設定は、機械的に簡単です。

  1. 同じ銀行に、2つ目の普通預金口座を開く(振替がすぐに行われるように)。または、無料のネット銀行でも構いません。
  2. 毎月の固定費を合計する — 家賃や住宅ローン、光熱費、保険、インターネット、携帯電話、ジム、サブスク、借金の返済、貯蓄への振替。毎月同じ、またはほぼ同じものすべて。
  3. 給料日に、その金額をちょうど請求の口座に振り替える。 元の口座に残ったものが、生活費です。
  4. 請求の口座には手をつけない。 すべての自動引き落としと定期的な支払いは、そこから行います。カードには触れません。
  5. もう一方の口座から使う。 ゼロになったら、次の給料日まで終わりです。

これが仕組みのすべてです。抽象的な予算の問題(「使いすぎていないか」)を、物理的な問題(「生活費の口座にお金はあるか」)に変えるので、機能します。

表計算の予算がうまくいかないところで、これが機能する理由

表計算の予算は、自分で守らなければならない予測です。取引のたびに判断が必要です。これは食料品に数えるか、外食に数えるか。先週使いすぎたか。今週は控えるべきか。ほとんどの人は、頭の負担が大きすぎて、3か月でやめます。

2口座方式は、守ることを物理的な希少性に置き換えます。生活費の口座は、文字どおり、家賃を払えません。家賃は、もう一方の口座から出ていくからです。週末の旅行で生活費を使い果たしても、請求は払われます。生活費の一部を貯められたなら、それは余剰だとわかります。四半期の保険の支払いを忘れているリスクはありません。

3つの心理的な効果が、大半の働きをします。

  • メンタルアカウンティングが、偏りではなく正確になる。 行動経済学者は、ほとんどの人がうまく使えない(税金の還付を「ただのお金」として扱う)ので、メンタルアカウンティングを偏りとして扱います。2口座方式は、頭の中の箱を物理的な口座に合わせることで、メンタルアカウンティングを正しく使います。
  • 判断疲れが減る。 「これを買う余裕はあるか」を、6行の予算と照らし合わせて問うのではありません。ひとつの口座の残高をちらっと見るだけです。
  • 不意打ちが、不意打ちでなくなる。 年払いの自動車保険の請求は、生活費の口座ではなく、請求の口座に届きます。月の3週目に、€600の請求で脱線することはありません。

請求の口座を、正しく見積もる

難しいのは、最初の計算です。請求の口座への入金が足りなければ、月の途中で補充する必要があり、本末転倒になります。入れすぎれば、生活費の口座を不自然に枯らし、静かに戻してしまいます。

12か月分の明細を取り出し、繰り返しの請求を頻度とともにすべて書き出します。

請求金額頻度月額換算
家賃€950毎月€950
電気代€70毎月€70
インターネット€40毎月€40
携帯電話€25毎月€25
動画配信€18毎月€18
ジム€35毎月€35
自動車保険€720年払い€60
賃貸の保険€120年払い€10
ドメインの更新€15年払い€1.25
貯蓄への振替€300毎月€300
合計€1,509.25

少しの超過を吸収するために、€1,550に切り上げます。これが、毎月、給料から請求の口座に移る額です。

年払いの請求は、もっとも見落とされる項目です。1年のうち11か月は見えないので、不意打ちのように感じるだけです。正しい扱いは、毎月12分の1を取り分けておくことです。年に一度届く自動車保険の請求は、実は、その間ずっと月€60で積み上がっていたのです。

生活費の口座がゼロになったとき

ゼロになることは、危機ではなく、フィードバックだというのが、この仕組みの要点です。正直な対応は3つあります。

  1. 給料日まで待つ。 これが標準です。この期間は使いすぎた。次の期間は、新たに始まります。
  2. 貯蓄から、意識して戻す。 本当に予定外のこと(医療の自己負担、取らざるを得なかった航空券)が起きたなら、貯蓄から引き出して、記録します。明示的な振替の手間が、狙いです。気づかせてくれます。
  3. 来月、配分を見直す。 3か月続けてゼロになるなら、請求の口座への入金が多すぎるか、生活費の予算が非現実的です。計算をやり直します。

やってはいけないのは、その差を埋めるために、生活費をクレジットカードで払い始めることです。構造の問題(生活費の予算が小さすぎる)が、借金の管理の問題に変わってしまいます。

知っておく価値のある変形

3口座方式は、給料日に別の自動振替を受ける貯蓄口座を加えます。請求の口座は固定費を、生活費の口座は変動する支出を、貯蓄口座は、今年は手をつけないものを持ちます。利点は、「生活費」が定義される前に、貯蓄をテーブルから外すことです。この方式を行った人の多くは、ほかのどんな予算の工夫より、貯蓄額が変わったと言います。

割合による方式。 固定費を正確に計算する代わりに、毎回の給料の50%を請求に、30%を生活費に、20%を貯蓄に送ります。固定費が安定していて、収入のおよそ半分なら、機能します。家賃がすでに手取りの40%を占めるなら、最初から計算が間違っているので、失敗します。

カップルの方式。 それぞれが個人の生活費の口座を持ち、共同の請求は、収入に比例して入金する共有の請求の口座を通します。毎月の交渉を必要としない、公平で摩擦の少ないカップルのお金の仕組みに、いちばん近いものです。

よくある間違い

請求の口座のカードを、「ひとつだけ」の買い物に使う。 混ぜてしまうと、メンタルアカウンティングに逆戻りです。カードは家に置いておく。あるいは、そもそも有効にしないほうがよいでしょう。

年払いの請求を忘れる。 請求の口座が足りなくなる、もっともよくある理由です。年払いのサブスク、保険、税金の支払い、更新をすべて書き出し、12で割ります。

家賃や給料の変更後に、調整しない。 10%の家賃の値上げは、数字を恒久的に動かします。値上げが有効になったその月に計算をやり直しましょう。3か月後、静かに残高不足になってからではなく。

「請求の口座に残ったお金」を貯蓄として扱う。 そうではありません。まだ来ていない年払いの請求のための余裕資金です。28日に貯蓄へ移して、3日に自動車保険が引き落とされてあわてることのないように。

thrustの対応

2口座方式は、2つの残高をひとつの画面で見られて、請求の口座が次の給料日までに今後の請求をすべてまかなえるかを、見通しで教えてもらえると、もっともうまく機能します。それは、家計管理アプリが、簡単にできるようにすべきことです。

  • 複数の口座をひとつの画面で。 2つの普通預金口座(と、貯蓄や暗号資産)を、別々のアプリに分けずに、並べて記録します。無料版は最大5口座まで対応しており、2〜3口座方式に、貯蓄口座とカードを加えるのに十分です。
  • 繰り返しの取引とサブスクの記録。 thrustは、請求の口座に入金すべき固定費の項目を見つけます。1か月分の明細だけを見ていると見落としやすい、年払いの請求も含みます。
  • スマート予算は、口座ごとに設定できるので、生活費の口座には、本当に自由に使う分だけを反映した予算が割り当てられます。家賃まで含んだ、つぎはぎの数字ではありません。
  • iPhone上で動くAIのCFOは、現在の残高と入ってくる給料から、請求の口座が今後30日分の予定された引き落としをまかなえるかを見通し、残高不足になる前に、不足を知らせます。生活費の口座も同じです。期間が進むにつれて更新される使えるお金の数字があります。
  • **Ghost Mode(サーバーなし、端末内のみ)**は、口座の残高、固定費、給料、貯蓄率の、どれもがスマートフォンの外に出ないことを意味します。アプリは、入力したデータを読むだけです。何も同期されず、点数をつけられず、売られません。

2口座方式は、多くの人が自制心で解決しようとする問題への、構造的な解決策です。配分を一度正しくすれば、予算は給料と給料の間に、おのずと回ります。